鼻の働きについて

鼻の働きについて

鼻は、大きく分けて2つの重要な役割を担っています。ひとつ目は、においを嗅ぐ機能です。腐敗した食べ物の臭いを嗅ぎ分けることによって食中毒を防いだり、有毒ガスなどを察知してガス中毒などの危険を避けることが出来るのです。

もうひとつは、呼吸器官としての機能です。ご承知の通り、人間は口からも呼吸は出来ます。しかし、健康を維持していくには鼻呼吸が基本となります。鼻から吸い込まれた空気は、鼻の中を通る間に細菌や有害物質を除去し、適度に温められてから肺に届けられるからです。このような鼻の機能に支障をきたすと、呼吸器疾患などのリスクが高まります。

このような症状の方はご相談を

  • くしゃみや鼻水が止まらない
  • 粘り気の強い鼻水が出る
  • 鼻詰まりが続いている
  • 鼻の穴の中がかゆい
  • 鼻の痛みがおさまらない
  • 鼻血がよく出る
  • いびきをかいていると言われた
  • 臭いがよく分からない
  • 鼻に出来物がある
  • 鼻やその周囲に痛みがあるなど

主な鼻の病気

急性鼻炎

急性鼻炎は、いわゆる「鼻かぜ」です。風邪をひいたときは、発熱が治まった後にも鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻水や鼻づまりに悩まされることがあります。ひどくなると炎症が咽頭から気道にまで広がり、のどの痛みや咳、痰などが出ることもあります。

主な原因はウイルスや細菌感染なので、しばらく安静にしていることが大切です。こうすることで体内に抗体ができ、風邪症候群は徐々に快方に向かいます。しかし、炎症がひどい場合は、耳鼻咽喉科を受診し、対症療法的に炎症を抑えるお薬などを処方します。細菌感染が疑われるときは抗菌薬を使用します。これによって通常は1週間ほどで治ります。

鼻出血

文字通り、鼻の中の壁が傷つけられ、出血する状態です。鼻の粘膜には毛細血管が張り巡らされていますので、指などで鼻の粘膜をこすったり、外傷や感冒などで刺激が与えられると出血しやすくなるのです。高血圧症の方などは血管が破れやすい状態なので、外部的な刺激が殆どなくても出血することがあります。また、上顎がんなどの腫瘍が原因となって鼻出血するケースもありますので、慢性的に鼻血が続いているときは、耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査を受けることをお勧めいたします。

鼻出血が見られたときは、まず出血部位を抑えて圧迫し、止血します。最もよく出血する箇所は、鼻の入り口から約1㎝入ったところにあるキーゼルバッハ部位なので、小指の太さに固めた脱脂綿などをゆっくりと鼻に挿入し、鼻の外側から指で少し強めに押さえます。その状態を10分ほど続けることにより、通常は鼻血が止まります。なお、このような処置をしても血が止まらないときは、鼻の奥からの出血が考えられますので、出来るだけ早く耳鼻科を受診するようにしてください。

嗅覚障害

嗅覚障害は、何らかの要因によって鼻が利かなくなる病気です。大人の場合は、においを感じなくなった時点で気づきますが、乳幼児の場合は自ら主張してこないこともあるため、保護者の方などが気づいて上げることが大切です。

嗅覚障害は原因によって、呼吸性、嗅粘膜性、混合性、中枢性の4つに分類できます。このうち呼吸性は、においの分子が嗅粘膜というセンサーまで届かない状態なので、鼻づまりやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などの原因疾患が解消されれば、すぐに嗅覚は戻ります。嗅粘膜性は風邪ウイルスなどによって匂いセンサー自体に障害が生じている状態です。薬物で治療しますが、回復しないケースも見られます。混合性は呼吸性と嗅粘膜性が同時に起こった場合です。中枢性は頭部外傷などによる神経損傷が原因で、現在のところ有効な治療法は見つかっていません。
炎症やウイルスによって嗅粘膜に障害が生じたと考えられる場合は、神経を活性化させるため、ステロイド剤の点鼻や、神経を活性化させるビタミンBなどのお薬によって治療します。

副鼻腔炎

副鼻腔炎は、鼻の副鼻腔という場所に炎症が起きる病気です。風邪の症状が現れて1週間ほどしてから、細菌などが原因となって発症します。副鼻腔炎になると、鼻みずが絶えず出てきて、よく鼻をかむ、常に鼻がつまっていて、口で呼吸をしている、いびきをかく、においがわからない、頭痛がするといった症状が出現します。

治療にあたっては、炎症を抑えるための薬物療法、抗生剤の入ったネブライザー(吸入器)を用いた処置、排膿洗浄などを行います。このうち排膿洗浄とは、副鼻腔に溜まった膿を排出し、副鼻腔を洗う方法です。鼻から上顎洞に特殊な針を刺して膿を吸引した後、生理食塩水などで洗浄します。こうした治療をしても治らない場合は、手術を行うこともあります。

花粉症・アレルギー

花粉症は、植物の花粉が鼻や口から体内に入り込んでアレルギー反応を引き起こし、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの不快症状が出現する疾患です。原因となる花粉は50種類以上ありますが、日本で特に多く見られるのがスギ花粉症です。三重県の平野部の場合、2月から4月頃に飛散するスギ花粉が原因となり、目の痒み・異物感・充血、涙、立て続けのくしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの症状を引き起こします。

この他、ヒノキやシラカンバ、ハンノキ、カモガヤ、イネ、ブタクサ、ヨモギなども原因となります。この中には秋に花粉の飛散量が増えるもの(ブタクサ、ヨモギなど)、イネ科のように春先から晩秋まで花粉症を起こしうるものもあります。鼻やのどに不快な症状が見られるときは、耳鼻咽喉科を受診し、様々な花粉に対するアレルギー反応の有無を調べてもらうとよいでしょう。

花粉症の主な症状

  • 発作性のくしゃみが止まらない
  • 毎年、春先などに鼻水、鼻づまりが起こる
  • 眼のかゆみ、充血、涙が出る
  • 目がショボショボすることがある
  • 頭が痛い、ぼーっとする
  • 耳がかゆい、聞こえにくい
  • 口が乾く、味覚がよく分からない
  • 喉が痛い、咳や痰が出る、声がかすれる
  • 顔や首筋などの皮膚に発疹が出る、皮膚がかゆい
  • 食欲の低下、胃がもたれる、下痢
  • 発熱や全身の倦怠感

花粉症の治療法

アレルギーの原因となっている花粉などを突き止め、これを避けるようにすることが重要です。具体的には、上述のように外出時にはマスクをつけること、帰宅時には洗顔や鼻の中の掃除などを徹底します。

そして、抗ヒスタミン薬を内服し、眼のかゆみ、くしゃみなどの症状を軽くします。飲み続けていくうちに症状が収まり、自己判断で服用を中止される方もいますが、担当医師の指示通りきちんと飲み続けることが大切です。

鼻づまりの症状がある場合は、局所ステロイドの点鼻薬を併用し、症状の改善を目指すこともあります。ステロイドに関して抵抗感をお持ちの方もいらっしゃるようですが、花粉症の治療に用いられるステロイドは内服薬と比較して少量なため、強い副作用が出ることは殆どありません。

花粉症の初期療法について

一般的な病気の場合、具体的な症状が出るようになってから治療を開始します。しかし、花粉症の治療においては、目のかゆみや鼻詰まりなどの症状が出現する前に初期治療を行うことが認められています。花粉症の原因となる花粉が飛び始める2週間くらいまえに医療機関を受診し、必要な薬剤を投与し、花粉症に備えておくのです。

初期療法を行ったからといって、花粉症に罹患しなくなる訳ではありませんが、症状を軽くしたり、症状の出る期間を短くしたり、花粉飛散のピーク時の薬剤投与量を減らす効果があります。

血液検査でのアレルギーの検査、各種治療を行っています

当院では内服薬、点鼻薬、点眼薬の処方が可能です。
妊娠中の方や授乳中のかた、運転するので眠気の少ない薬にしたいなど、お気軽におっしゃってください

レーザー治療

鼻の中の下鼻甲介という部位の腫れた粘膜をレーザーで焼いていきます。 スギ花粉症のかたは、スギ花粉が飛散していない夏から冬に施行するのがおすすめです。
まず、麻酔薬をふくませたガーゼを鼻の中に挿入し(注射ではありません)、痛みをとってから治療を開始します。 所要時間は麻酔に15分ほど、レーザーでの焼灼に10~15分ほど要します。ほとんど出血はみられません。
レーザー手術後2,3日は鼻水が多く出ますが、1週間ほどで落ちつきます。術後1ヶ月ほどでかさぶたはほぼはがれます。

花粉症の内服薬を減らしたい方や、内服薬の副作用が気になるかた(妊娠をかんがえている女性や受験を控えた方、運転をされる方)には特に適しています。
レーザー治療の費用は3割負担の方で約9,000円です(検査、処方費は別途必要です)。 効果の持続期間には個人差があり、半年程度のかたから数年効果が持続する方もみえます。

舌下免疫治療

当院ではスギ花粉、ダニアレルギーに対する舌下免疫治療もおこなっております。
アレルギー症状を根本から治す治療として期待されています。 アレルギーの原因物質であるアレルゲンを少量ずつ体内に吸収させ、アレルギー反応を弱めていく治療です。 この治療法は最低3年は継続することが勧められています。多くの方は年数を経るごとに症状が軽くなるといわれています。

すべての方に効果があるというわけではありませんが、8割のかたに効果があったと報告されています。
逆に言うと約2割の方には治療効果がでないともいわれています。治療期間が長く(3~5年)、花粉のシーズンではないときも毎日服用し、月に1度は通院が必要です。アレルギー反応(副反応)が強く出る可能性もあります。このようなことをご理解なさり、熟考した上でご相談ください。

以下の方は治療をお受けになれません

  • 重症気管支喘息患者
  • 妊娠中、授乳中の方
  • 非選択的βブロッカー内服患者
  • 全身性ステロイド内服患者
  • 悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全者

よくある質問

何歳から治療できるの?
お薬を服用したあと、じっとしていられる年齢、当院ではおおむね6歳から治療を開始できます。将来の妊娠や受験勉強のことを考えると、16歳以下がよい適応といわれています。
いつからできるの?
スギ花粉のアレルギーの方は、スギ花粉の飛散していない6月~12月まで開始可能です。 ダニアレルギーは年中いつからでも開始可能です。
薬はどうやってつかうの?
治療薬を舌の下に置き、1~2分後のみこみます。これを毎日おこないます。 その後5分はうがいや飲食は控えてください。また、服用後2時間は運動もさけてください。
費用はどれくらいかかるの?
初回受診時のアレルギーの採血検査は3割負担の方で4,000~5,000円かかります。 その後の定期的な通院の費用は受診料とお薬代で月に約3,000円です。
副反応とは?
頻度の高いものは口内や口唇、のどのはれた感じ、ひりひり感、かゆみなどです。 ごくまれにアナフィラキシー反応という蕁麻疹、嘔吐や吐き気、息苦しさ、めまいや意識消失などがおきるといわています。そのため1回目の投薬は院内で行います。

治療の流れ

初回診察時
採血検査にて何に対してアレルギーがあるのか、またその程度を調べます。結果が出るまでに約1週間を要します。
2回目診察時
  • 採血の結果を後説明します。
  • この治療の適応であることが確認された方は、薬を処方しますので、当院にて初回の内服をしていただきます。
  • その後30分ほど院内で様子をみていただきます。特に問題なければご帰宅いただきます。
  • 2日目からはご自宅で服用してください
3度目以降診察時
その後1週間ほどで再診し、副反応がないか確認をします。 以降は1か月おきに受診をしていただきます。